
2021年、YMYLジャンルでの“ビッグワードSEO”はやめておけ。
YMYL(Your Money or Your Life)とは、人生に大きな影響を与える業界を指します。具体的には、人の幸福や健康、経済的安定、安全などの分野です。
Some types of pages or topics could potentially impact a person’s future happiness, health, financial stability, or safety.We call such pages “Your Money or Your Life” pages, or YMYL.
[出典]検索品質評価ガイドライン
「YMYL業界は検索エンジンからの評価が厳しくなる」と言われてもう5年。未だにこの業界では、Googleアップデートの影響も大きく、順位変動に頭を悩ませるプレーヤーが多いと思います。
といっても…お金と健康という業界は、多くの人が興味を持つ業界。
検索需要が多いので、いくつものキーワードで上位表示を狙いたくなってしまうものです。
私の結論は「ビッグワードは狙うな」です。
さて、それはなぜでしょうか?
ここでは、
- そもそも自社のホームページはYMYLなのか?
- ・YMYL業界のSEO対策はどうすればいいのか?
について話をすすめ「なぜビッグワードは狙うべきではないのか」をお伝えします。
目次
YMYLジャンル≠お金と健康
YMYLジャンルとは「金融と健康(医療・美容)」と考えられていますが違います。「Your Money or Your Life」という言葉が示すように、もっと広いので誤解のないように。
人生に関わる情報分野ということで、不正確な情報発信をすると、受け取った人の人生に悪影響が出る危険性があると考えられています。
そのため、GoogleはYMYLジャンルのコンテンツに対しては「厳しく評価する」旨をガイドラインで明記しています。
We have very high Page Quality rating standards for YMYL pages because low quality YMYL pages could potentially
[出典]検索品質評価ガイドライン
では具体的にどのジャンルがYMYLに当たるのか、そもそもなぜこの評価指針が必要とされたのか、についてお話していきます
YMYLの具体的なジャンル
検索品質評価ガイドラインに記載がある、具体的なYMYLのジャンルは次のとおりです。
ニュースや時事問題(News and current events)
国際的なイベントやビジネス、政治、科学などの「最新ニュースに関する」コンテンツです。世界的なイベントや大企業の動向、自然災害の発生、新テクノロジーの開発などが当てはまります(スポーツやエンターテインメントなどは除く)
公民・政府・法律(Civics, government, and law)
法律関係や政府発表、社会福祉関係の話題など、「市民の生活の維持」に関するコンテンツです。投票や市民権などの「公民的な話題」、政府機関の発表や政治の動向などの「政府関係の話題」、離婚や相続などの「法律的な話題」などが当てはまります。
金融(Finance)
投資や税金、銀行関係などの「財務・金融またはお金についてのアドバイス」に関するコンテンツです。各種ローンや退職後の計画、保険商品、年金情報などが当てはまります。
ショッピングや金銭の取引(Shopping)
商品・サービスの調査や売買取引情報など、「取引関係やサービスそのもの」に関するコンテンツです。情報だけでなく、送金・精算をオンラインで行うWebページ(ECサイト)そのものも当てはまります。
健康と安全(Health and safety)
医療や薬物、病院など「人々の健康や身の安全」に関するコンテンツです。病気関係やサプリメント、メンタルヘルスなどが当てはまります。
人々のグループ(Groups of people)
人種や民族、宗教、年齢、国籍など「人のグループやアイデンティティ」に関するコンテンツです。こちらもYMYLのジャンルに当てはまりますが、営利コンテンツとしては一般的ではありません。
その他(Other)
上記以外の「人々の大きな決定や重要なシーン」に関するコンテンツです。大学や就職情報や不動産、栄養関係、自動車の話題などが当てはまります。
ここまでを見ると、大きな金額が動いたり、人体やライフスタイルに直接影響したりするジャンルで占められています。
上記の情報を扱うときは、自社コンテンツもYMYL領域であると意識しましょう。
YMYLが始まった背景
といってもGoogleは「〇〇月〇〇日よりYMYLに関する改善やアップデートを行いました」と公言したわけではありません。
日々SEOを研究する専門家たちによって、「YMYL領域の検索アルゴリズムに変化がある」と観測されているのみです。
そんななか、日本でYMYLが注目されるきっかけになったのは、2016年の「WELQ(ウェルク)問題」でした。医学的根拠のない医療情報を大量に掲載して問題となった出来事で
内容はともかく、文字数や大企業ドメインという理由から、Google検索エンジンでの上位表示に至ったことから、検索エンジンの在り方も問われたのです。
この事件後、Googleは検索エンジンのアップデートを行っています。
その一環として、今週、ウェブサイトの品質の評価方法に改善を加えました。今回のアップデートにより、ユーザーに有用で信頼できる情報を提供することよりも、検索結果のより上位に自ページを表示させることに主眼を置く、品質の低いサイトの順位が下がります。その結果、オリジナルで有用なコンテンツを持つ高品質なサイトが、より上位に表示されるようになります。
[出典]Googleウェブマスター向け公式ブログ
2017年の12月には日本語検索限定で「医療や健康に関連する検索結果の改善(健康アップデート)」が実施されました。公式から唯一正式に発表があったYMYLジャンルのアップデート情報です。
YMYLジャンルではEATが重要
YMYLのジャンルで上位表示を狙うには「E-A-T」を高めることが重要です。
E-A-Tとは、「Experience(専門性)」「Authoritativeness(権威性)」「Trustworthiness(信頼性)」の3要素を意味します。
- 専門性:専門性の高い情報が載っているか
- 権威性:専門家や権威ある人物が発信する情報か
- 信頼性:そのコンテンツの情報は信頼できるか、情報元ははっきりしているか
厳しい品質基準が求められるYMYLでは、とくに意識しなければなりません。
次の章では、このE-A-Tを高めるための施策をご紹介します。
EATについては、次の記事にてお話します。
YMYLジャンルで勝つSEO戦略とは?
ここからは「YMYLジャンルでのSEOの戦い方ってどうなるのか」について話します。
これまでのSEO戦術といえば「記事を量産する」が主流でした。お金の力に物を言わせて、ライターを大量雇用し、一日1~3記事掲載するような戦術です。
しかし、WELQ問題が起きてから、この方法はランキングアルゴリズムのアップデートの影響を受けやすくなりました。
そのため、これからは大量の外注ライターを使った人海戦術にはリスクが伴います。
私が推奨するのは以下。
自分の専門領域で専門家として戦う
YMYLジャンルではE-A-Tが重要と言いました。2021年以降もこの方向性は変わらないと予想します。
そのため、長期的にYMYL領域で戦っていくには、「自分が専門家になって専門性・権威性を得る」が一つの方法です。特に自身でビジネスを始めている個人事業主や社長さんにとって、この方法は極めて有効です。
多少の時間や手間がかかりますが「コンテンツの専門性を高める施策」を続けることが、なによりも優先すべきSEO対策です。
スモールワールドから狙う
YMYLジャンルでビッグワードを狙うには、ある程度準備が必要になります。
それは前述した「E-A-T」という概念です。
ショッピングサイトではAmazon、楽天など大手サイトが上位表示を締めていると思いますが、それは「専門性がたかく、権威性があり、信頼できる情報だから」というのが理由です。
つまり、ビッグワードに並ぶサイトはあまりに強力で、まともに戦っても勝てません。そこでスモールワールド(ニッチキーワード)で丁寧に上位化を狙うことをおすすめします。
スモールキーワードは、大手企業が攻めづらいものだからです。
Passage-Based-Indexingを理解する
Passage-Based-Indexing」とは、1文1節単位でWebコンテンツを評価するGoogleの新しいアルゴリズムです。2020年10月に発表されました。
<導入前>
- 「YMYL領域で権威性を高めるコツ」と検索
- 「権威性」ではなく検索ボリュームやニーズが強い「EAT」のクエリを優先
- 「YMYLやEATを網羅的に解説した記事」が上位表示
<導入後>
- 「YMYL領域で権威性を高めるコツ」と検索
- YMYL領域で権威性を高めるコツ」への適切な回答があるページを1文・1節単位で優先
- 「YMYLで権威性高めるには〇〇が大事」「〇〇という施策を実施すれば、YMYL領域で権威性を高められる」などが書いてあるコンテンツが上位表示
つまりYMYL領域での検索クエリでも、大企業や権威者のコンテンツでは解説しないニッチな部分でなら、上位表示を狙える可能性が上がると予想できます。
ページ品質にこだわれ
2021年以降もSEOで重視されるのは「コンテンツの質」です。Googleが掲げる「ユーザーファースト」の理念は変わることはないからです。
Googleはあらゆる文書で「ユーザーの悩みを解決できるコンテンツを目指すべき」という一貫した主張をしています。私たちは、それを意識してサイトを育てるしかありません。
実際に2021年5月に控える「コア・ウェブ・バイタル」の導入も「ユーザーにとってより見やすい改善」という目的を満たすためです。
※コア・ウェブ・バイタルとは、Googleのランキング評価軸の1つ。ページの読込時間・応答性・視覚的安定性のこと。
とくにコンテンツ内容が重要になるYMYL領域では、今後は表示速度も加えた「あらゆる部分でのクオリティ」が重要になるのではないでしょうか。
「YMYLジャンルではなければ、高品質でなくてもいいのか?」
という考えを持つ人もいるようですが、それはGoogleの理念とは異なる考えになります。
そのため、これからのSEOはYMYLジャンルに関係なく「有益な情報を発信する」ということが欠かせません。